丸太小屋をセルフビルドでつくる!

杉の4m材でハンドメイドの丸太小屋を建てた詳細をレポート

道具を揃える(1)

専用の道具

丸太小屋を建てるには、どうしても必要な道具が色々有り、それらを列挙してみます。  

●木回し 

皮むきなどで、丸太を回すのに使用。なかなか、金物屋さんでは見かけない、林業の道具。製材屋さんに聞くと、入手先を教えてもらえる。

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●リフティングトング

クレーンで丸太を吊るのに使う。これはスウェーデン製で、ワイヤー一本で吊れば、テコの原理で締まるように出来ている。問い合わせ:グッドウッズ ☎0597-32-1000 林業用品通販店(ここは、他にもログハウス用品多数あり、カタログ請求する)

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●皮むきナイフ

トラックの板バネから、鍛冶屋さんに作ってもらった。かなり年季が入ったナイフ。市販されてないので、探しがいのある道具。

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●スクライバー

近代のログハウス作りに必須な道具。これなくして精緻なフィットは望めない。ログハウスの神様アラン・マッキーさんの考案による。上が通常タイプ、下がダブルスクライブ用。前後、左右のレベルを同時に見て、けがいていく。鉛筆は柔らか目の6B位がいい。慣れるまで少し要領がいる。同物ではないが前述のグッドウッズにある。またはシンワのWスクライバー「きこり」も使えそうだ。

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●チェーンソー

私のは信頼できるスチール製の034と026、どちらも長年の酷使に耐えて、焼きつきもせず、よく働いてくれる。034は主に半割丸太を挽く時に、026はノッチやグルーブのカット、リカーブカットなどに使用。

電動チェーンソーも重宝な物で、室内の作業はほとんどこれを使った。排ガスは出ないし、軽量である。チェーンオイルは必要。コンビ缶とヘルメットも必要。

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 カニクレーン トーア製1.3t吊 リモコン付き

4mの杉丸太でも、生木ならば200kg位あるので、とても人力では動かせない。どうしてもクレーンが必要になる。私の使ったのはカニクレーン。これは石屋さんが、お墓などの工事で使うもので、アウトリガーをたためば幅80cm位になり、コンパクトで小回りがきく。だが、これで組み立てをするには、建物の3方面で作業できるスペースが必要。カニクレーンを探すなら、5段ブームのリモコン付き(有線)がいい。私のは4段だったが、あとすこし届かない、と言う事が少なからずあった。これで小屋組をかけるのは無理なので、その時は大型のラフタークレーンを頼むようにする。

 

 

この他にも、必要な道具はもちろん、多々あります。次にもう一度、記してみたい思います。

 

 

 

建具を決める

寝室窓、W1235, H770f:id:marutagoya1:20160416162655j:plain

テラス引き戸、W1235, H1830f:id:marutagoya1:20160416162341j:plain

裏口ドアと小窓、ドアはアンティークドア、ポストを間に立てればすぐ横に窓が付く。窓は横すべり出し窓W640, H570

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浴室のガラスルーバー、W 780, H770f:id:marutagoya1:20160414141906j:plain

無垢材のアンティーク玄関ドアと、レトロな木製小窓。これもポストを挟んですぐ隣に設置。f:id:marutagoya1:20160414112339j:plain

サッシとドア 

初めに建具のサイズを決めてしまわないと、丸太をカットする寸法が出ないので、カタログなどを参照してサイズを決めていきます。

私の使ったのは、アルミサッシ、トステムデュオPG、ペアガラス高断熱タイプ、色:オータムブラウン、「アングル無し」で注文すること。インターネットでかなりの割引率で販売している。

最近は、樹脂サッシも普及しているが、割高なのと、強度と耐久性がどうかな?と思うのでアルミにしている。木製サッシはいいが、高すぎる。

ドアは、昭和時代のレトロなアンティークドアが好きで、ネットショップで探して手にいれた。「アンティークギャラリー和音」や「時代家具のびる」がお進め。ドアノブも真鍮の無垢でいい感じである。丸太には古いドアが良く似合う。

 

 

間取りを考える

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田の字のログウォール 

間取りは、7m✕6mの長四角、それぞれ半分のところでジョイントし、田の字型である。中心部のノッチはブラインドノッチにして、ログエンドを無くし通行のじゃまにならないようにしてある。寝室を除き、各部屋の間にはドアをつけずに、開口とした。空間的につながっているので、閉塞感がなく広く感じる。室内のログエンドは、切りっぱなしにしないで、半割にしたポストを立てて、キーボードを組み込み強度を増している、美観的にもいいと思う。玄関ドアと裏口ドアのすぐ隣に小窓を設けているが、これは間にタイコ挽のポストを立てれば可能である。従来のやりかただと、1m近く離さねばならない。狭いスパンだととてもできない。(確認申請が通るかどうか、保証しません)

間仕切り壁は、洗面所と浴室の間の1ヶ所だけ、トイレと浴室の間は、低めの腰壁にした。複雑な間仕切り壁は無くし、シンプルにまとめた。ロフトは階段部の1/4が吹き抜けで、残り3/4を板張りとした。

初回 原木の搬入

末口24, 25cmのサイズを中心に、合計で160本使用。初回の20本が搬入された。f:id:marutagoya1:20160413113912j:plain

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 搬入された杉の原木。使うごとに少量ずつ入れる。地元の製材屋さんに頼んで地杉を伐採してもらった。完全に乾燥していないが、大きな問題はなかった。4m丸太は、2トントラックで搬入できるのが大きな強み。

杉の効用

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 杉材の特徴

ログハウスを作るにはさまざまな樹種があるが、杉はその中でも最高の部材である。幾つかの特徴をあげてみると、

●通直で節が少ない(カーブした杉など見たこと無い)

●柔らかく、チェーンソーワークが容易である

●手に入りやすい(沖縄を除いて、日本中どこにでもある)

●皮が薄くむきやすい(この事はとても重要、米松の皮むきは拷問のようである)

●しなやかで強度がある

●あばれが少ない(これが、大きく外材と違うところ)

●湿気に強く、腐りにくい

●虫がつきにくい

●ヤニがでない

●カビが出にくい(出ても表面だけで、中まで入らない)

●香りが良い

●比較的、安価である

このように利点を上げれば、いくらでもあるが、大きな欠点が一つ有る。それはテーパー(末口と元口の差)が強いこと、これが唯一の大欠点。このことがネックになって、長尺物での使用が困難になっている。また、長尺物は流通ルートにのっていないので、入手が難しい。 しかし、4m材を使う事によって、この欠点を補うことができる。しかも、短材は取り回しがとても楽で、作業効率が良い。2トントラックで現場搬入できるなど、少人数で作業するにはいいことずくめである。短材を使うのは、こういう理由である。

一つ問題が有るとすれば仮組みができない、(やってやれない事は無いが)と言う事であろうか。ジョイント部は半ノッチになるので、隙間が開きやすく、フィットさせてすぐ短冊金物で接合する必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前書きとして

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ご挨拶

このブログは、私が2年5ヶ月をかけて、南房総に一人で作り上げた、丸太小屋の全記録です。

着工は2013年3月、完成は2015年8月です。

その間の丸太小屋の製作過程を、順に追いながら、セルフビルド目指す方々の指針になるべく、アイデアや方策を発信していきます。

特に、一人で作ることに主眼をおいていきたいと思います。

ログハウスは、お金持ちが建設会社に委託すれば、苦労なく手に入りますが、それでは感銘も愛着もうすい、ただの建物にすぎません。

自分の手で作ってこそ、本当に意味のある生きた家です。

それも、できればマシンカットのキットでなく、ハンドメイドで作ることをおすすめしたい。同じログハウスと呼ばれますが、出来上がりは、一味も二味も違う、まったくの別物です。

ここでは、4mの杉丸太を使った方法で、ハンドメイドの丸太小屋を作っていきます。4mの丸太では小さい小屋しかできないだろう、と思いますか?ちょっと説明しましょう、4m材を1本で使うのではなく、2本縦に並べて繋いでいきます。繋いだ場所は金物で接合し、上にノッチをかぶせ隠してしまいます。必然的に間取りは田の字になります。

4m材を2本並べて8m,ログエンドを40cm出したとして、最大で7.2m角の家ができます。約8畳が4つ、建坪16坪弱の堂々のログハウスができるでしょう。

私の作った写真の丸太小屋は、少し小さくて7m☓6m、6畳が4つの田の字型、建坪12坪強のコンパクトな丸太小屋です。4mの杉丸太160本を使用(うち5m材が7本)今は、自宅兼見世物(?)として使用中。

4mの杉丸太を使うことには、大きな利点があり、それは後ほど説明します。

 それでは長い物語を始めましょう。

 

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